<はしがき>(読み飛ばしてOK!)
これまでの僕のブログは、ネタバレ有りで自己満足的にコンテンツの感想を書くものが主でした。ですが、先日、ツイッターのとあるフォロワーさんのブログを拝見した際、彼は自分の主観を前面に押し出しつつもネタバレを控えて、未プレイ者向けに真摯にエロゲーの紹介をされてたんですね。それを見て、素直に「いいなあ」という感想を抱きました。自分の好きなものを他人にも知ってほしいという〝コンテンツに対する素朴な愛"の顕われのように感じたのです。そいういう、自分自身が一発信者となってコンテンツに貢献していく姿勢というのを、私も見習いたく思い、【紹介】シリーズを書く事を決意しました。
<とばりゲー>
ずっと面白くて中だるみしないエロゲーがやりたい……。
物語の中に吸い込まれるようなエロゲーがやりたい……。
そんな人にこそおすすめなのが、
「彼女たちの流儀」
なんですよ。
2006年に発売された18禁アドベンチャーゲーム。略称:カノギ。新品はプレミアついてるけど中古ならわりと手頃に入手可能。
「 吸血鬼 × 実姉 × 双子 × 学園 × 演劇 」モノです (なげぇ)
由緒正しいお金持ちの旧家――「白銀」家で、二人の双子の姉の下に生まれた主人公・胡太郎。
父母の離婚を機に、姉達は白銀家に残り、胡太郎は母とともに白銀家を去る。
そして5年後――、
理由あって再び白銀家で一緒に住むことになったが、5年ぶりに再会した姉達は変わっていた。
以前は病弱だった上の姉・朱音は元気いっぱい。
以前はよく笑いよく遊んだ下の姉・鳥羽莉は再会以降、冷ややかな態度をとり続ける。
そんなある日、学園の演劇部の部長である鳥羽莉から、劇のヒロイン役を頼まれて・・・!?
シナリオは満足できる程度のボリュームが有りつつ、そんなに長くないです。つまり丁度良い。
吸血鬼モノのよくある設定を生かしつつ、文化祭に向けた演劇の稽古を本筋にしてストーリーが進んでいきます。
地に足のついた学園生活を描きつつ、ダークでファンタジックでエロティックな要素がストーリーと絡み合い、独特の雰囲気を醸し出します。
「退廃的な雰囲気」というように、よく評されてますね。
良い意味で現実っぽくなくて、少し夕陽に照らされているような世界観(意味不明)
エロシーンいっぱいあります。
絵はエロよりもキレイ系なのですが、雰囲気がエロいので、抜けるっちゃ抜けますね。(実際僕は数回抜きました)
カノギの良いところは、エロとストーリーが互いを必要とし合って相乗効果を生んでいるところなんです!
「シリアスなシナリオに取って付けたような不自然なエロ」や
「抜きゲーに申し訳程度に添えられた感動要素」ではなく、
全体で一つの作品として非常に良くまとまっているんです。
ヒロインは6人いるんですが、個人的には
1位 鳥羽莉ルート
2位 朱音ルート
3位 涼月ルート
4位 火乃香ルート・千佐都ルート
6位 せせりルート
の順で好きです。
鳥羽莉・朱音・涼月は素晴らしいです。
火乃香・千佐都は正直う~んって感じ。
せせりは……ちょっと完成度が低かったかなという印象です。
「あれ?実質やる意味のあるヒロインは半分だけ?」
という声が聞こえてきそうですが……
ですがですがですが!!!
全体的に完成度が高い作品なんですけど、あえて言うなら
このゲームは鳥羽莉ゲーなんです。
画像の左上のでっかく描かれてる少女です。メインヒロインです。
この子のビジュアルがわりかし好き…ってんならぜひプレイして欲しい。
鳥羽莉役(尾瀬道櫻子も兼役)の声優、涼森ちさとさんの御声と演技が半端無いです。
演劇の練習場面とかがあるんですけど、(いわゆる劇中劇)
「声優さんってすげえ」ってなります。
あ、あと、その劇中劇の内容が、「吸血鬼と死せる国の女王の恋愛モノ」なんですけど、すごくロマンチックで台詞回しがお洒落で、とても良いんですよ。
そして物語が進むにつれて鳥羽莉ちゃんの孤独な苦悩が鮮やかに描き出されていきます。
鳥羽莉ルートは特別待遇で、一旦エンディングを迎えた後に更にエピソードがある二段構成です。
そのラストエピソードがねえ、僕は大好きなんですよ。
生と死について
孤独と愛について
そいういったことを
概念ではなく感覚でプレイヤーに訴えかけてくるんですよ。
感情のゲームです。今でもときどきこのラストエピソードを読み返したりします。
<テンポが良くてだれない>
「へ~、でも生とか孤独とかってエロゲでありがちなテーマだし、n番煎じ感が……」
と言われれば、確かにそうです。
でも僕が「彼女たちの流儀」を秀作だと思う理由は、ストーリーだけではなく、
日常パートから後半のシリアスに至るまで一貫した会話劇のテンポの良さとテキストの読みやすさ
があるからなんですよ。
まあこれも主観ですけど。
キャラクターどうしの会話がキャラクターを引き立てつつ毎度毎度面白いワンシーンになってるんですよ。
そして学園系でよくあるリア充ワイワイキャッキャ感が強すぎてしんどくなる現象が起きない!
これ重要ですよね。
で、何故こんなにテンポ良いプレイ感覚を得られるのか考えたんですけど、
たぶん
① 主人公フルボイス(CV奥川久美子 ←女性)
② 主人公以外の男キャラに声なし
③ 台詞テキストの左に大きく声主のイラストが表示される
ってのが大きいと思うんですよね。
もちろんシナリオライターお三方の筆力があっての話ですが。
まず①について、僕は主人公フルボイス(女声がよい)大賛成派なのですよ。
一番量喋る主人公に声がついてない事こそが、エロゲーをだるくする要因なのではないでしょうか?
主人公フルボイスなだけでテンポ感が違いますよね。
②は、多くのエロゲーではボイスのオン/オフができるわけですが、普通は男性声ありでやっちゃいますよね。
あえて最初から男声つけないことで予算も抑えられるし、女性声優さんの麗しい声のみのプレイ環境を確実に得られるわけです。
③、誰が言ってるのかってのが一瞬でわかる。疲れなくて良いです。
<音楽も良き>
内容についてはネタバレになるのであまり深く書けませんので、音楽について。
OPとEDがfripSideです!
ボーカルnaoの頃のやつですね。
カノギはfripSideゲーとしてちょっと有名なんですよ、実は。
OPである「Red -reduction division-」の歌詞はまさしく鳥羽莉の心情を語ったもの。
鳥羽莉ルートクリア後に聞いたときはマジでうおおおおお!ってなりました。
あとBGMもふつうに良いです。
僕は物哀しい感じの曲が好きなので
「涼月のテーマ」「孤独」が好きです。
他のBGMも場面の雰囲気に合ってると思います。
さて、今回はこんなところにしておきます。
色々書きましたが、まあふつうに面白いと思うので、ぜひプレイしてみてください。