蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

【ネタバレ有り】歴史的神回・ゾンビランドサガ第7話を視聴して…

 とうとう新しい時代の幕が開けたね。
 ゾンビランドサガを見ずしてアニメを語れない時代の幕が。
 本当にびっくりするぐらい面白い。文句のつけようがない。特に第6話から第7話への流れが最高だった。第7話の体感時間がマジで5分くらいなんだけど!?
 色々語りたいことが有るけどとりあえず第6話と7話の中心テーマ、…というか紺野純子ちゃんについて……
 もうねぇ、紺野純子ちゃん最高過ぎるでしょ。僕は一生紺野純子ちゃんについていくよ。
 第7話まで見たあと、改めて純子ちゃんの気持ちを想像すると涙が出てきた。
 80年代に生きて、アイドルとしての理想を必死に追いかけて、なのに無念の死を遂げて、気がつくと、その世界にはもう自分が理想とするアイドルは誰にも求められていなくて、かつての昭和のアイドルの理想を求めていた自分自身の存在の拠り所が何処にも無いということに気づいた時の絶望……。
 ただ自分が否定されるだけじゃなくて、自分の理想や信念までもを包括した全てがごくごく現実的な形で否定されるというつらさ。……純子ちゃん……。
 でもそれでも自分の信念を揺るがさない純子ちゃんは本当に本当にかっこいいんだよな。そして幸太郎のアドバイスは当初の僕のぼんやりした気持ちをきっちりと言葉に落とし込んでいて、本当に感心するものだった。幸太郎ほんま美味しいとこ持っていったなあ。
 今までキャラと動きのギャグで凄い勢いで突っ走ってたゾンサガが第6〜7話にして「語り」で魅せてきたという印象。ただの勢いだけのアニメじゃないぞって言う意思表示に思える。
 「私は昭和のアイドル、紺野純子です!!!」
 「私は〜〜です」という文法のなんと力強いことか。エヴァ碇シンジの名台詞を彷彿とさせるが、根底にあるのはこの文法表現の力強さだろうね。何処からともなく現れる「私は何者なのか」という問いに、「私は〜〜です!」力強く答えを叫びたい! これこそ人間の性(サガ(ゾンビランドサガだけに笑))でしょ。マジで最高としか言いようがない。
 あと第7話では、円陣を組むシーンがお気に入りなんだよな。感動的な演出に偏り過ぎてない。さくらちゃんがただ単に、このメンバーが揃ってガバ嬉しい、ずっとこのメンバーでやっていきたいって言うだけなんだよ。でも今までの7話分でたっぷりフランシュシュの軌跡を見てきたから、それだけで感情が震える。ほんま神アニメ。
 一歩引いて第7話を見ると、製作陣から僕達へのメッセージにも思える。
 平成が終焉を迎える今、僕達自身が紺野純子ちゃん的な状況に置かれていくということだ。僕達現代の若者は、平成に生まれ、若く豊かな感受性を持って平成を生きてきたわけだけど、いまその時代が終わる。まあ元号自体はただの政治的変遷なんだけど、実際社会は変化していく。僕が今正しいと信じている価値観も理想も、時とともに誰からも見向きもされなくなるかもしれない。そういう時に、紺野純子ちゃんのように確固たる意思・自分の信念と言えるものを持てるだろうか?僕は紺野純子ちゃんになれるだろうか?
 ゾンビランドサガはギャグとシリアスの二面性という単純構造に留まらず、内省的な考察にも行き着くあまりに奥深いアニメだということに気付かされた。