蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

【ネタバレ有】プリズマ☆イリヤ雪下の誓いを見て僕=美遊という側面に気づきました

注意:ネタバレ有り

この文章は映画「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」およびそれに関連した作品のネタバレを含みます。未視聴の方は読まないでください。

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見に行ってきたよ、「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」。近所の映画館じゃやってなくて往復四千円以上かけて県外で見てきたよ。内容は原作7~8巻の美遊世界での過去編そのもの。つっても僕は映画ワクワクしながら見たくて映画見るまで原作読んでなかったけどね。まあそれは置いといて、原作では2回ほど回想を中断して現在の衛宮家を描写する場面があったけど、映画ではそういうの無くて、完全に過去における衛宮士郎視点での物語だったね。従って予告映像のとおりイリヤ、クロ達の出番はほぼゼロw でも美遊があ~りえん尊かったから全然OKや!結論を言うと、僕はこの映画で「人間が当たり前に持つべき大切なもの」について考えさせられたとともに、Fateの真骨頂であろう「正しさという概念のあまりの無意味さ」を感じた。付け加えるならば、個人的にはこの映画、やっぱりZeroとステイナイトとプリヤ(過去編以前のストーリー)を知って見るのがいちばん楽しめると思う。僕はZeroとプリヤは習得してんだけどステイナイトあんまよく知らないからそこで損してる部分はあったなと。まあ一番大元の原作知らないってのが言語道断感あるんだけど。とりあえず以下原作パラパラ見ながら順を追って書いていく。

 最初は切嗣と士郎が車に乗ってドライブしてるとこから始まって、開始早々朔月家の神稚児信仰とかいうオモロそうな設定出てきてワクワク、んで冬木まで来たらやべえブラックホールみたいになってて、まあそっからあれやこれやで神稚児朔月美遊ちゃんと邂逅するわけだけど、ほんま邂逅シーンのオーラとんでもなかったなw 現在の美遊より眼が赤っぽくて、みんなが逃げていった家の畳にポツンと座ってる姿…これだよ、僕はこういう「少女との運命の邂逅」に憧れてるんだよなあ。で、このあとちょっとわかりづらかったけど、「崩れるな」っつう士郎の願いを美遊が叶えて、時間停止みたいになって助かったっぽいね。そいで三人で一緒に暮らすけど、この世界の切嗣パパはZeroの切嗣とまるっきり同じって感じで多数の命を選択する正義を貫いてんだね。ただしこの滅び行く世界では美遊に対して完全な<全 対 一>の構図なのがやべえ。死にゆく切嗣と縁側で話すシーンで泣いた。「正しくなろうとする事が間違いのはずがない」。この場面はまさにFate/Zeroを感じる。なあ、道を行き交う大人たちの中のいったい何人が正しくなろうという意思を持って生活しているだろうか?正しさという概念はいつしか僕たちの生活から消え去り哲学の本の中に閉じこもってしまたね。ぼくらが正義に葛藤するキャラクターを見て涙を流すのは間違いなくかつて自分の心にもそれがあったからだと思うよ。んでまあなんやかんやで五年たって、美遊と星を眺めるシーンも良かった。プリズマイリヤってやっぱりキャラクターの素晴らしさがすげえ光ってるんだよな。クロもそうなんだけど、地味に美遊がすごいと思う。なんつーか単なる記号的なキャラクターじゃないんだよな。多くの2次元美少女って分解していくといくつかの萌え要素に整理されることが多いけど、美遊ってなんか違うじゃん分解できないじゃん。水面が煌くように空が青いように美遊が愛しい、そんな感じ。たぶん誰もが美遊なんだと思う。少なくとも誰もが美遊になりたいと望んでいるんだと思う。ただ純粋に家族と友達を愛し愛されたがる女の子に、ただ純粋にまだ見ぬ世界に憧れ希望を失わない女の子に…。んで本年の萌え萌え映画大賞受賞シーンであるところの<初めてお外出る美遊ちゃむ>。最高に可愛い。そぉ~らぁ全人類<<<美遊ちゃんですわw んでまあ美遊拉致されて、言峰綺礼がでてきて聖杯戦争始まってワカメが出てきて戦闘。戦闘はまあけっこう凄かった。射精の100倍はワロタ。そいで聖杯戦争続いて、最後のセイバーはジュリアンの父だって、そこでダリウスのことが思い浮かんで「?」となったけど、これは原作読めばわかるね。結局士郎は全人類を敵に回して美遊を助けるんだけど、これね、僕は一回目見たとき、美遊や士郎に感情移入して「せや士郎!おまえの選択が正しいんや!ええぞええぞ」つったんだけど、二回目見たときはふと冷静になって、もし自分が彼らと何の関わりもない人間だったとして士郎の行動を祝福できるかって考えたとき、僕はいよいよ正しさというもののエゴイズムを排除できなさというか、人間は正義という概念に制御されるのみで正義という概念を制御することはできないんだろうなという感想をじんわりと胸に抱いた。まさしく僕たちは「ただワガママに生きる」ことしかできないんだよな…。でも、それでもやはり、朔月家の手記に残された400年の記録で僕たちはえーんえーんって泣くんだよな。人が当たり前にもつべき大切なもの、言っていい?愛じゃね?どこにでもありそうな陳腐な愛…。ただそれだけのように思う…。そして最後はアンジェリカとの戦闘。まあでも正直このバトルは宝具飛ばし合ってるだけでそこまで見ごたえなかったけど、このへんで士郎が英霊で~みたいなFate設定出てきて、たぶんステイナイト見てればよくわかるんだろうなって思った。なんにせよ士郎かっこよかったな。人間の選択に数の理論は通用しないという事実を確認した。美遊が平行世界(つまりプリヤ世界)に飛ばされた後のラストが良かったね。本当の家族も士郎も失ってしまった美遊がそれでも前を向いて進もうとする勇気に泣いた。これは映画オリジナル。最後はED曲kaleidoscopeのアウトロがstarlogのイントロになっててバリ糞テンション上がったわ。これはプリヤシリーズ見てないと分からねえ感情だろうな。ここからプリズマイリヤがSTARTしてくんだな、あのハチャメチャな日々が、新しい光が生まれるんだなって思ったら……。

 映画館でも泣いたけど、この作品映画館出てからジワジワメンタルに効いてきた。結論言うと、僕は美遊ちゃんなんだなって思った。僕もまあ、何もかも失ったよ。詳しくは書かんけど。人が当たり前に持つべき大切なもの、今の僕には…ない。映画館を出て物陰で涙目で煙草を吸う僕はまさしく別世界に飛ばされて行くあてもなく彷徨う美遊ちゃんだった。見つけたいプリズムの中新しい光がすぐそこにあるキミと感じたいわたし達の今日もっと眩しさの真ん中へ思いっきり自由に走っていこう……。

世界を恐れないで、進んでいきたい。

ありがとうプリズマイリヤ