蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

いつか壊れてしまうもの

 いつか壊れてしまうものばかりだ。


 ささやかな幸福が私を取り囲む時、怖くて涙が止まらなくなる。
 親しみ愛する家族の宝石のような眼差しが、或いは、通りがかりの名も知れぬ友人の親切が、私がとても弱く、また同じように彼らも弱い、小さな羽虫のようだと教えてくる。


 町は今日も賑やかで、降り掛かる全ての悲しみを克服するだけの愛と希望が、そこに住む人々によって生み出されているようにも見えた。
 しかし前者がけして減少しない一方で、後者が路地裏の深い暗闇にすーっと消えて二度と現れないのが何度も見て取れたので、私はもう焦りと不安でいっぱいになってきた。
 誰かが私のことをペシミストだと笑うかもしれないが、そうしたら私は、その幸せな人の強運が長続きするようにそっと祈るだけだろう。


 幾つもの暖かい灯が燈る町を通り過ぎて、私は一人、人気(ひとけ)のない丘の上に立っていた。
 私はいつもこうだった。
 ひとしきり泣いたあと、私は風に晒された硬い土に冷たいシャベルを突き立てた。
 そして僅かな慰めを期待して、小さな花の種を蒔いた。