蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

【ネタバレ有り】美少女万華鏡シリーズについて

【注意】この文章はωstarのゲーム「美少女万華鏡」シリーズのネタバレを含みます。

 こんにちは。ゲームブランドωstarの美少女万華鏡シリーズ4作目「美少女万華鏡-罪と罰の少女-」をプレイした。

http://www.omega-star.jp/top.html

 僕はあの旅館のおばちゃんのやつ以外は、1作目から全部やってる。

 4作やったけど、今回の罪罰の完成度は凄かったね。延期に延期を重ねてたけど、それだけのクオリティーはあった。ヒロインの覡夕莉ちゃんの美しさ?妖艶さ?みたいなのも凄かったし、作品全体に漂う狂気、特に主人公の狂気が凄かった。エロCGも動画も最高のクオリティーだった。夕莉ちゃんとガチKISSできる顔アップの動画あるじゃん?あれマジで最高なんだけど。いい歳こいて画面prprしちゃったね。そしてBGMもほんとに良かった。今回罪罰のテーマ曲である「私たちの罪と罰」が素晴らしいね。静かな雪のようにしんしんと降り積もる狂気・愛情・憎悪……そういったものを感じる。あと今作は沢山クラシック使ってんのも好き。僕が知ってんのはアラベスク第一番、子犬のワルツ、別れの曲。他にもクラシックあるのかな?どれも名曲。やっぱ別れの曲は神だね。どんな陳腐なドラマでもラストシーンに別れの曲流せばたいたい壮大なトラジェディーになりがち。

 罪罰は前作と一線を画す“狂気”だったね。まず、ガチで主人公が殺人するのは今作が初めてでしょう。夕莉TRUEエンド見てビビったわ。母も叔父もガチで殺しとるし、父礼次郎も実質夕摩が殺したようなもんじゃん。シナリオライター吉祥寺ドロレスの、怪奇ホラーミステリモノ大好き感がめちゃくちゃ伝わってきた。江戸川乱歩とかそういう界隈系の狂気感がたまらん。

 夕莉エンド以外のエンドは、夕莉TRUEエンドと照らし合せると主人公の行動に矛盾を感じる箇所があったけど、たぶんそれはTRUEエンドを念頭に入れずにプレイしろってスタンスなんだと思う。TRUEエンドを見るに至るまでは、夕摩は姉に依存する弱い弟というイメージだったわけだからね。全てのエンドが一つの世界観を共有してるわけじゃないんだな。これは忘永のマルチエンディングもそうだと思う。忘永のエンドの一つには、TRUEエンドと照らし合せた場合、<眠ってる主人公が「パンツ被って徘徊する夢」を見てるだけ>っていう茶番な終わり方があったわけだけど、それもTRUEエンドを知らない状態では、十分に衝撃的な鬼気迫るエンドなわけ。つまり美少女万華鏡シリーズを楽しむ上でのコツは、マルチエンディングはそれぞれ世界観を共有していないってこと、途中までは似てるけどエンディングが異なる全く別の小説を読んでいるような感覚でプレイすることだと思う。

 あと今作罪罰で気になったのは、かなり時事ネタ的なネタがあったこと。夕摩の「僕は君を……」って言葉に対して夕莉が「さがしはじめたよ?」と冗談で返した箇所は決定的だね。その後に夕摩の思考文で「夕莉はアニメ好きなのかな?」とまで言ってるし、完全に新海誠の「君の名は。」のテーマ曲「前々々世」のこと以外考えられない。他にも数々の詩人、小説家の実名がはっきりと出てきた。つまり、罪罰の表現する世界はあまりにも現実的過ぎて、現実世界だと解釈するしかないところまで細部描写されている。このことから、怪奇作家の深見夏彦が覗く万華鏡の世界は「存在したかもしれない/存在するだろうかもしれない、物語」ではなく、「夏彦の生きる世界線を同じくして存在した、物語」だと考えるのが自然。というかプレイしてる中で自然とそういう感覚になるね。まず夏彦世界からして蓮華や万華鏡という非科学不思議なものが存在してるわけだから、夏彦世界には他にも吸血鬼・幼馴染を殺しちゃいたいほど愛する男・実姉を愛しすぎて狂った男が存在してもおかしくないわけだし。夏彦世界から分岐する未来では神造みたいな未来もあろう。…………と、世界線考察してみたけど、他にも色々考えられる可能性は無限にあるわけで、はてさて、美少女万華鏡の世界はこの先どう明るみを見せていくのか楽しみ。蓮華と夏彦の関係にも変化が現れ始めているし、ひょっとしたらプレイヤーがあっと驚くようなシリーズ全体としての結末があるのかも……。なんにせよ当分はもっともっとシリーズ続いて欲しいけどね。

 こうしてみるとシリーズ全体で真の非科学オカルトが描かれたのって一作目の呪伝における吸血鬼だけなのか。他は、怪奇的ストーリーではあるものの非科学では無かったよな。それを思うと、1作目から2作目にかけてωstarさんは若干の方向転換をした可能性もあるな。非科学オカルト怪奇というよりは、怪奇ホラーミステリー的なジャンルにシフトしたのかしら。僕は2作目以降も好きだけど、呪伝も大好きだよ。主人公への共感という点では、呪伝が一番主人公に共感できたな。孤独な学校教師が吸血鬼の少女にただただ惹かれていくお話、とっても純粋な恋の物語で大好きなんだよ。そういう純粋な恋物語としては呪伝が一番好きだわ。

 作品ランキングとかは、つけづらいね。どれも良いところがあるから。

 呪伝はさっきも言ったように純粋で美しい愛という点で一番だと思う。忘永はじわじわと世界自体が怪しくなっていくような不気味な感覚、そしてラストのハラハラドキドキ感はアドベンチャーゲームとして完璧。神造はちょっと毛色が違う作品だったけど、壮大なSFと愛すべき家族みたいな、楽しくて心温まる物語だったな。今作罪罰はとにかく“狂気”、おどろおどろしさが段違いだった。

 あ~!文章が下手過ぎて言いたいことがスっと伝えられない。もう箇条書きでいくぜw

 まとめると↓みたいな感じだね。僕の感想。

作品ごとの良かった点・印象に残った点

呪伝・・・ ●霧枝ちゃん可愛くて好き。高圧的ロリたまらん

      ●主人公に好感と共感がもてる。さっきも書いたけど

      ●吸血鬼みたいなファンタジー設定、自分的には大好き

      ●ピアノクラシックが使われてたの個人的に良い。月光第一楽章と幻想即興曲

      ●ヒロイン一人のみシングルエンディングだけど、そのシンプルさもさっぱりしてて嫌いじゃない

      ●まんこにロザリオぶっ刺すエロシーン好き

忘草・・・ ●これはストーリーで魅せる作品。じわじわと自分の居る世界が崩れていくような感覚がたまらん

      ●「幼少の記憶の夢を見る主人公…何か大切なことを忘却している…?」みたいな物語進行、ベタだけど大好き

      ●この主人公にも共感できる。雫にたいする劣等感。昔は何もかもがキラキラしていたのに、何もかも変わってしまったような気持ち。僕も昔はもっと明るい性格だったのに思春期を経て変わってしまった人間だから、よくわかる。

      ●病院の先生の聖書を引用した意味深な言葉と、最後のニーチェ名言からのオチが最高!くっそ見入った。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ!!w

      

神造・・・ ●壮大なSFに舌を巻いた。本作は人間の愚かさや狂気を少し俯瞰で見たような作品。

      ●主人公のカッコ良さは一番だね。

      ●宗教系、わりと好き。宗教って集団狂気の象徴だからね。村人たちの悪意のない純真な残酷さが印象的。

      ●終わり方は一番好きかも。プレイ後感の良さはピカイチ。「確かに、人間は愚かだ……同じ過ちを繰り返す……だがそれならまた、やり直せばいいじゃないか? 何度も何度も」

      ●演出面が凄かったね。タイトル画面のアニメ演出、SF設定謎明かしシーンの動画連発。その他明るくて美麗な背景絵はシリーズの印象を変えた。

      ●主人公が火傷を負った顔を鏡に映すときに流れた楽曲「Lachrymal」が印象的。物哀しい旋律は本作一番の名曲。

罪罰・・・ ●前作と一転、狂気で陰湿な世界観。近親愛、女装、殺人…どろどろっとした感じ、最高。

      ●文体もちょっと変わってるよな?すげえ近代文学っぽいお堅い感じ。でもそのおかげでエロシーンの厳かで艶かしい描写が自然に入ってくるという利点も。

      ●とにかく文学の引用が多かった。要所シーンで画面に大きく中也の詩が出たり、知識欲をそそる感じは本作の特徴。

      ●ストーリーの話だけど、最後に双子が生まれてくるのはぞっとした。でも、夕摩と夕莉は夕紀夫と母とは違う環境を手に入れたはず……なんやかんやで幸せな未来を祈っているよ。

      ●エロシーンの動画はすげえ進化したなあと。本当にエロい。夕莉の顔アップキス動画も素晴らしい。

      ●楽曲もシリーズ最高だと思う。テーマ曲「私たちの罪と罰」、ピアノクラシック、その他衝撃的シーンでのBGM「地獄の季節」も印象的。

 こんな感じかな。読んでくれてありがとう!