2020-06-22 郷愁 自作詩 嗚呼、少年よ 姉のお古の自転車で、故郷のあらゆる場所を駆け巡った 少年の日の私よ あてもなく近所を歩き回り、腹を空かせて家路についた 過ぎし日の私よ お前はなんと強い呪いを編んでしまったのだ 透き通る思い出の結晶が、夜、 私を鋭く刺し傷つける 魂は、生きながら地縛霊となり、 身動きひとつ取れず過去の引力にひれ伏してしまう 山が 川が 公園が 公孫樹の植わる道が あの小さなショッピングモールが 恐ろしい密度の結晶になって けして壊せない