蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

郷愁

嗚呼、少年よ

姉のお古の自転車で、故郷のあらゆる場所を駆け巡った

少年の日の私よ

あてもなく近所を歩き回り、腹を空かせて家路についた

過ぎし日の私よ

お前はなんと強い呪いを編んでしまったのだ

透き通る思い出の結晶が、夜、

私を鋭く刺し傷つける

魂は、生きながら地縛霊となり、

身動きひとつ取れず過去の引力にひれ伏してしまう

山が

川が

公園が

公孫樹の植わる道が

あの小さなショッピングモールが

恐ろしい密度の結晶になって

けして壊せない