蟲が生きる

生きることは戦うことでしょう?

ToLOVEるが現代の若者(主語デカァ!)に与えた影響について

 ToLOVEる関係の楽曲でひとつ好きなものがある。

 OVAのOPである「やってこい!ダイスキ?」という曲だ。

www.youtube.com

 いや~素晴らしい。素朴な感じが良い。聴き飽きることない名曲だと思う。

 さて、これを聴いていて、やっぱりToLOVEるは偉大だよなあと思った。

 偉大な点は二点あるのかなと思う。

 ひとつは、等しく魅力的な女の子達がちょっとえっちなドタバタラブコメディーをしてるだけで最高に楽しいということを示した点。

 もうひとつは、上述の面白さを保ちつつ、漫画・アニメ的な文化の下で培われてきた””二次元美少女萌え””の要素や技術を、幅広く膨大に取り入れた””文化的集大成””である点。

 ToLOVEるは現代の若者に対して、データベースの役割を果たした。

 キャラクターの””属性””に注目すれば明らかで、ありとあらゆる古典的な要素が各キャラに振り分けられている。宇宙人、妹、幽霊、戦闘少女、お嬢様、風紀委員、二重人格など、最も特徴的な点だけでも多いし、さらに発明家とかたい焼きが好きとか、いろいろある。

 キャラクターの属性だけではなく、シナリオも一話一話が古典的に美しく完結している。ララの発明品が暴走して大変なことになる展開は、数え切れないほど見た。これは古典と言える展開だろう。そして、作品全体として見ると、王道三角関係モノと王道ハーレムモノを融合させた、両者の集大成になっている。

 ToLOVEるは、昭和の末期から続いてきた二次元美少女萌え文化の膨大なデータを一遍の漫画作品になるべく凝縮して、平成後期の若い読者達に、リアルタイムの最新の娯楽として提供したのだ。これは良いことだろう。

 平成後期の未成熟な青年達が逞しい萌え豚になる過程において、ToLOVEるという一遍の漫画が、基礎教養科目の役割を果たしたといえる。それも、座学ではなく、実技として!

 まあそれもこれも、ヒロインが等しく魅力的であることが、勝因に違いない。

 いまだに、もし僕がリトになったとして、ララと春菜どちらかを選ぶことができない。ほかのヒロインに関しても同じだ。

 僕たちの世代は、丁度オタクになったばかりか、或いはオタクになる以前に、このToLOVEるという作品に触れてきた(オタクになるのは決定運命)。

 それは、しっかりと週刊少年ジャンプを読んでいた場合はもちろん、そうでなくても、少しどこかで立ち読みしただけでも、当てはまる。何故なら、ToLOVEるの紙面はコマ数も文字数もなるべく少なくし、明らかに読みやすさを意識して描かれているからだ。そのため、気楽にパラパラっと読んだだけでも容易に内容が頭に入るようになっている。シナリオ自体も単純明快なので、なおさらだ。ToLOVEるの””読みやすさ””は全漫画家がお手本にすべきレベルで洗練されていると言える(僕は漫画描いたことないですが)。

「ちょっとHなラブコメマンガ」というキャッチフレーズに惹かれて、ToLOVEるに興味を持たない青年など、当時一人もいなかった。「エロ」と「読みやすさ」と「一話ずつのシナリオの安定感」によって、ToLOVEるは僕たち世代の若者に多大な影響を与えたと確信する。機動戦士ガンダム新世紀エヴァンゲリオンが社会に影響を与えたと言われているのに匹敵するほどに、だ。

 ToLOVEるの影響とは、萌えの精神的素養と、それを活かすための教養の授与である。